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六月大歌舞伎 夜の部 [着物で歌舞伎]

一、吹雪峠(ふぶきとうげ)

                  直吉  染五郎
                  助蔵  愛之助
                 おえん  孝太郎


二、夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)

  住吉鳥居前
  難波三婦内
  長町裏

              団七九郎兵衛  吉右衛門
                女房お梶  芝 雀
                  お辰  福 助
               玉島磯之丞  錦之助
                傾城琴浦  孝太郎
                 伜市松  金太郎
                 堤藤内  桂 三
             大鳥佐賀右衛門  由次郎
                釣船三婦  歌 六
              三河屋義平次  段四郎
               一寸徳兵衛  仁左衛門


三、色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ)

  かさね

                 かさね  時 蔵
                与右衛門  染五郎


一、吹雪峠
孝太郎を染五郎と愛之助がとりあうって、、、と、どうしても思ってしまう。だって孝太郎がおじさんなんだもん、、。容姿の善し悪しはしかたのない事だけどそこを芸でカバーして欲しいなぁ。
それにしても、この時期になぜこの演目?次は浪花鑑だってのに、季節感無視も甚だしい。


二、夏祭浪花鑑
3月公演の中止で溜まったフラストレーションのはけ口として、かぶりつきで仁左さまを観ようと奮発、前から3列目の一等席を久しぶりにとったんだがそれが裏目に出た感あり。

吉右衛門の団七に覇気がなさ過ぎる。仁左さまは相変わらず立ち姿も美しくて素敵なんだが吉右衛門との年寄り二人の絡みは、夏祭りで賑わう大阪の喧嘩っ早いやくざ者という雰囲気とはほど遠い。

台詞が入っていないのだろうか?吉右衛門の台詞まわしもつっかえる場面が多くて舞台に全く躍動感がない。見所である殺しの場における様々な見栄もさっぱり決まらない。暑い夏という事で役者が扇子で日光を遮る仕草が多くみられたが、暑さも熱さも感じない寒い舞台だった。

ただひとつよかった事と言えば、かぶりつき席だったのでさまざまな夏着物の質感がよく見えた事くらいか。。。

三、色彩間苅豆
愛と憎しみが絡みあう関係を時蔵と染五郎がよく作り出していました。

が、夏祭浪花鑑でイヤ〜な殺しを観た後に、またもやえらく不気味なかさねの踊り。殺しの道具も鎌による惨殺、そして怨念。納涼歌舞伎でもあるまいに、、。さすがの私も見終わってなにやら薄気味悪い嫌な気分になりましたよ。松竹さんはもうちょっと演目を考えて欲しいなぁ。

終演後は日曜日の夜でも確実に開いている「ビストロ・ヌガ」へ(topページは音がでるので要注意!)。この日初めて知ったんだけど、こちらのお店では観劇やコンサート帰りに寄ると、チケットの半券を見せれば(当日のみ)シャンパン1杯のサービスがあるんです。日曜でもL.O.が10時なので夜の部終了後も使えるお店です。美味しいし、お店の人がとても感じよくてくつろげるお店。カウンターもあるから一人でも入れそう。ただし、ドリンク料金が銀座価格なので調子に乗ると散財の危険性あり。

この日は紅花紬に今年初夏帯で。

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渋谷・コクーン 歌舞伎第十二弾 [着物で歌舞伎]

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『盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)』
串田和美 演出・美術

薩摩源五兵衛 実ハ、不破数右衛門  中村 橋之助
芸者妲妃の小万 実ハ、神谷召使お六  尾上 菊之助
船頭笹野屋三五郎 実ハ、徳右衛門倅千太郎  中村 勘太郎
芸者菊野  坂東 新悟
若党六七八右衛門  中村 国生
徳右衛門同心了心  笹野 高史
船頭お先の伊之助  片岡 亀蔵
富森助右衛門/家主くり廻しの弥助実ハ神谷下部土手平  坂東 彌十郎


コクーン歌舞伎は昨年に続き2回目の鑑賞。今年も昨年のようにラップミュージックを使ったり、最後はシュプレヒコールで締めるなどの古臭くてこっぱずかしい演出が飛び出すのでは、、という一抹の不安を抱えていたのですが、今回は歌舞伎にかなり近い構成を軸に、チェロをベースとした音楽や、進行のスピードアップなど現代的味付けを施した演出だったので、チャレンジという点では平凡なのかもしれませんが、現代劇苦手の歌舞伎ファンとして大変楽しめる舞台でした。

ただ、前半の二軒茶屋の場までがかなり早いので、源五兵衛(橋之助)が大事なご用金を使ってまで小万(菊之助)を身請けするという心理に実感が伴わず、お金を巻き上げる為に芝居を打った三五郎(勘太郎)と小万に対して「罪な事するな〜」という感情がいつも程沸いてこなかったかな。

見所のひとつである「五人切の場」は回り舞台を使って立体的に見せる演出がなかなか良かったすね。シーンとした月明かりの夜に、窓の外で息を殺している橋之助の姿はゾッとする程きれいでした。

長屋に越して来た「四谷鬼横町の場」前半の三五郎と小万の様子は人を騙してお金を巻き上げる芸者と色っていう(例えば菊五郎と時蔵のように)、世慣れた夫婦というよりラブラブの若夫婦に見えたのは若くて涼やかな勘太郎と美しく匂い立つような色気をまとった菊之助という、フレッシュなコンビが今だけみせられる雰囲気なのかもしれないですね。

そんな姿を見た後だけに、小万に襲いかかる源五兵衛の惨めさと悲痛な叫びがビシビシ伝わってくる殺しの場には思わず息を呑みました。裏切られた事以上にそもそも愛されていなかった事への悲しみが、菊之助の美しさにも反射して、いつもは割とスクエアな印象の橋之助をエロティックなまでに残忍で美しい男へと変身させ、思わず鳥肌が立ちました。

仁左衛門が残念そうに、吉右衛門が誇らしげに懐に入れた小万の首を、橋之助は気も狂わんばかりの激情につつまれながら愛染院に持ち帰り、机の上において食事をします。ザーザーと降りしきる雨の音が寂寥感をいやがおうにもかき立てますが、しかしこれだけの為に本水を使う必要はあったのか?コクーンで水を使わないと観客が満足してくれないって考えなのかもしれないけど。

最後の見せ場である勘太郎の切腹は強く凛々しくて華がありました。歌舞伎の切腹は刃を突き立ててから長々とセリフがあってナニだと思う事が多々あるのだけど、スカッと終わったのは好感。

オーラスは回り舞台を使い回想シーンを次々と見せてゆくのですが、この時も、最初から幻想的な雰囲気を作っているシースルーの幕が、ほんの少しの行き違いでメチャクチャになった人生が、全ては夢であったならと思わせるような一連の事件を効果的に見せていました。そのへんの見せ方や長く延びて行く格子の影などの照明効果に、チェロの音響も相まってか今回の演出は視覚的に映画のような雰囲気を強く感じました。

最終的に不破数右衛門として源五兵衛が赤穂浪士の列に加わるという下りは勘三郎のナレーションや勝鬨で表現されます。あんだけ盛大な人殺しも「お家の為」「仇討ちの為」って事で許されて、あっぱれで終わっちゃうのかよ!って事が歌舞伎ではよくあり、そういう不条理は当時の風潮を皮肉っていたんだろうけど、ま、現代ではいまひとつ納得できない部分。

それゆえ、今回は「愛」をクローズアップしたのでしょうか。ありがちと言えばありがちですが、江戸時代でも現代でも永遠である壮絶な「愛」の物語として、その切なさに涙した『盟三五大切』でした。

この日は雨だし、コクーンだしって事でテンション上がらずGパンで観劇。Gパン観劇、正直ラクであったと告白します。



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六月大歌舞伎 昼の部 [着物で歌舞伎]

昼の部


一、頼朝の死(よりとものし)

                 源頼家  染五郎
                 小周防  孝太郎
                畠山重保  愛之助
                  音羽  梅 枝
                榛谷重朝  種太郎
                藤沢清親  萬太郎
                別当快順  廣太郎
             別当慈円坊祐玄  吉之助
                別当定海  桂 三
                中野五郎  右之助
              小笠原弥太郎  友右衛門
                大江広元  歌 昇
              尼御台所政子  時 蔵


二、梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)

  鶴ヶ岡八幡社頭の場

                梶原景時  吉右衛門
                   梢  芝 雀
                俣野景久  歌 昇
              大名山口政信  種太郎
              大名川島近重  種之助
              大名岡崎頼国  米 吉
              大名森村宗連  吉之助
                剣菱呑助  由次郎
                飛脚早助  錦之助
                六郎太夫  歌 六
                大庭景親  段四郎


三、連獅子(れんじし)

        狂言師右近後に親獅子の精  仁左衛門
        狂言師左近後に仔獅子の精  千之助
               浄土僧専念  愛之助
               法華僧日門  錦之助


一、頼朝の死
頼家(染五郎)の苦悩ってのが実感として伝わってこない。ダメな若者が終始ぎゃーぎゃー騒いだり泣いたりしていて見苦しいと感じました。現代劇の一番苦手な世界満載。染五郎の演技が軽くて位が高く見えなかったところも敗因のひとつでは?

ニ、梶原平三誉石切
前回観た幸四郎の景時はあっさりしていて、で、手水鉢は斬れたんかい?!って感じだったのですが、さすがに当たり役だけあって吉右衛門の景時は魅力がありました。吉右衛門には人を信じさせるものがあるんだよな〜。この人に任せておけば大丈夫と思わせる余裕と無邪気さ。いざとなったら迷わず斬る冷徹さ。こんなリーダーが日本にいてくれたらね、と、思わずにはいられない。

三、連獅子
さて、今月のメインはもちろん仁左さまと孫・千之助くんが踊る「連獅子」。中村家のヘヴィメタ連獅子なんかを思い起こしてしまうとね、11歳という幼い千之助が無事舞台を勤められるのか?仁左さま、毛振り、大丈夫なんですか?という不安な気持ちをかかえつつ幕が開くの待ったワケなんですが、結果から言って、これがもうビックリするような舞台で感服しました。

と、いうのも千之助があまりにも上手いんですよ!!なんつっても11才の子どもですからね。大抵は振りを覚えるだけで精一杯というか、機械的に身体を動かしているだけの子どもが多い中、多少ぐらついたりする箇所はあるとはいえ、子どもとは思えないテクニックで観客を沸かせ、グッと溜めて決めるところはバシっと決めるという緩急を巧みに使い、子どもが唯一武器にする「かわいさ」ではなく芸で観客を掌握するという舞踊を展開。こういう才能は天性のもの。将来がハンパじゃなく楽しみになってまいりました!

先日のチャリティトークショーの際、父親を通り越して祖父との連獅子を自ら強く望んだという話を聞いてほほえましく感じていたのですが、そうじゃなかったのか、と。千之助は自分に自信があって、それで祖父との競演を望んだのかと気づきました。まだ2日目だというのに、それ程落ち着いて堂々とした舞台でしたね。

ちなみに仁左さまの親獅子は実に気品があり、今まで観たどの連獅子よりもストーリー性と父性愛を感じるものでした。年齢の差がそうさせたのでしょうが、興味深かったです。さすがに毛振りはシャンプーしているみたいで、台の上り下りにフラついたのにはハラハラさせられましたが。

この日はお召しに八寸名古屋で。

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五月大歌舞伎 昼の部 [着物で歌舞伎]

一、敵討天下茶屋聚(かたきうちてんがぢゃやむら)

  浮田館
  四天王寺
  東寺貸座敷
  福島天神の森
  天下茶屋聚

      安達元右衛門/東間三郎右衛門  幸四郎
                早瀬伊織  梅 玉
                妻染の井  魁 春
               早瀬源次郎  錦之助
                 妻葉末  高麗蔵
               坂田庄三郎  友右衛門
               岡船岸之頭  桂 三
               田楽師松阿  廣太郎
               田楽師竹阿  廣 松
                 奴腕助  錦 吾
                安達弥助  彌十郎
                京屋萬助  歌 昇
               片桐造酒頭  歌 六
               早瀬玄蕃頭  段四郎
             人形屋幸右衛門  吉右衛門


宇喜田秀家の家臣林源三郎が、父と兄の敵である当麻三郎右衛門を大阪の天下茶屋で討った事件を劇化した作品。

最近いつもモゴモゴとしゃべってセリフが良く聞こえないと感じる幸四郎ですが、今月はそんな事もなく久しぶりに落ち着いて観られました。初役だったのが幸いしたのか、笑?

ただ、酒で失敗して敵側に寝返る小悪党の元右衛門と敵のボスキャラの東間三郎右衛門の二役を幸四郎が演じる意味がワカラン。キャラの違いがハッキリ感じられないじゃん。

今回印象に残ったのは梅玉演じる早瀬伊織。乞食に身を落としても漂う品格に「これでもか」と襲いかかる不幸が実に良く似合う。苦労の末に本懐を遂げる姿を見届けられる喜びは、色々と我慢したもの、笑、が味わう事のできる通し狂言の醍醐味ですな。それ故にもう少し最後の仇討ちシーンを盛り上げて欲しかったけど。

今回の席はこのエリア↓

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ここでも見えない部分がある事は変わりないんだけど、今まで色々と座った3階B席の中では一番ましかも。舞台はこんな感じ。

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花道は見える。

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この日は紅花紬に博多帯で出掛けました。もっと単衣が欲しい、、

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五月大歌舞伎 夜の部 [着物で歌舞伎]

一、籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)

  発端 戸田川原お清殺しの場より
  大詰 立花屋大屋根捕物の場まで

             佐野次郎左衛門  吉右衛門
                 八ツ橋  福 助
              立花屋おきつ  魁 春
                  九重  芝 雀
                下男治六  歌 昇
                盲の文次  錦之助
                  七越  高麗蔵
                腹太弥七  松 江
               禿山の松蔵  種太郎
             初菊/娘お千代  壱太郎
              赤目の卯左吉  種之助
               土竜の石松  米 吉
                  お清  歌 江
               絹商人丈助  桂 三
              絹商人丹兵衛  由次郎
                釣鐘権八  彌十郎
                都築武助  歌 六
              佐野次郎兵衛  段四郎
              立花屋長兵衛  東 蔵
           高松安之進妻おとし  秀太郎
               繁山栄之丞  梅 玉
               立花屋お駒  芝 翫


二、あやめ浴衣(あやめゆかた)

                 若い女  芝 雀
                 若い男  錦之助
                 若い男  歌 昇



いつもは「見染の場」からスタートする籠釣瓶花街酔醒だけど、今月は発端の「お清殺しの場」から大詰め「大屋根捕り物」までの通し狂言ととなり、佐野次郎左衛門の顔が醜くなった原因と籠釣瓶が手に入った経緯がわかるようになってます。

どういう因果を次郎左衛門が纏っているのかが分かり良い試みだとは思うのですが、明治以来の上演という事でどの俳優も台詞がかなり怪しいし動きにも戸惑いが感じられて、全体的に非常にぎこちない舞台に居心地の悪さを感じました。

「見染の場」以降はうって変って舞台が活き々と動きだし惹き付けられます。いつも下品な方向に走る福助に心配していたのですが、今回の八ッ橋では抑えめに演じていて悪くなかったです。

吉右衛門の次郎左衛門は今まで演じた役柄の先入観からかもしれないけど、持ち上げられてはしゃいでいる時もどーも、どこか底の底に残忍さが感じられるんですよね〜。怖い人だなぁ。

大詰に「大屋根捕り物の場」があると気分的にはスッキリするけど、でも、殺しの後に「ハテ、籠釣瓶はよく切れるなあ。」で終わる方が不気味で断然良いですね。

「あやめ浴衣」は今の時期にぴったりの踊り。しかし浴衣っていっても所謂「浴衣」じゃないのね。帯結びはみんなそろって半幅を片流しにしていましたが。ちょっと色合いが暑苦しく見えたけど、そういうものなのかしら。しかし、最後が踊りだとやっぱりホッとします。

5月もまだ中盤だったこの日。一度単衣を着たら袷に戻るのは無理!って事で単衣の小紋で出掛けましたが、芝居が始まってから2列前の席に遅れてやってきた6、7人の着物軍団はきっちり袷をお召しでした。

みなさん奇麗に着物を着ておられ、「先生」と呼ばれている方がいらしたのでもしかしたら着付教室のグループなのかもしれません。彼女らが芝居の間中扇子でパタパタ扇いでいて、それがチラチラと目に入るのが目障りでちょっと困りました。場所にもよりますが、着物における季節のルールよりも守るべきルールがあるのではと感じ、我が身の戒めとしました。

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四月大歌舞伎 夜の部 [着物で歌舞伎]

一、絵本太功記(えほんたいこうき)

  尼ヶ崎閑居の場

                武智光秀  團十郎
                   操  魁 春
               武智十次郎  時 蔵
                  初菊  菊之助
                佐藤正清  三津五郎
                  皐月  秀太郎
                真柴久吉  菊五郎


二、男女道成寺(めおとどうじょうじ)

        白拍子桜子実は狂言師左近  松 緑
               白拍子花子  菊之助


三、権三と助十(ごんざとすけじゅう)

                  権三  三津五郎
                  助十  松 緑
                  助八  亀三郎
              願人坊主雲哲  亀 寿
             小間物屋彦三郎  梅 枝
              願人坊主願哲  巳之助
              左官屋勘太郎  市 蔵
                石子伴作  権十郎
               猿廻し与助  秀 調
             権三女房おかん  時 蔵
              家主六郎兵衛  左團次


一、絵本太功記

今回の席は3階席右側の1列目のかなり舞台寄り。ここでも上手半分見えず。で、時間が経ってしまったこともあり「絵本太功記」の印象が全く思い浮かばず。簡単にでもメモっておけば良かった、大いに反省。

二、男女道成寺

あまりにも見えないので隣の人に「どの位まで乗り出してもいいですか?」と聞いたら「手すりいっぱいまで大丈夫ですよ!」と言われて以降は乗り出し観劇。

道成寺モノは色々観ているけど「男女道成寺」は初めて。情緒とか、怨念という点では少しモノ足りない気がしたけど、若々しくエネルギッシュな松緑と菊之助の踊りは観ていてとても楽しく惹き付けられました。ご贔屓の種太郎くんをはじめ若手が所化を勤めていましたが、彼らとのやりとりもバラエティに富んでおり面白かったすね。

座席の関係で菊之助が見えにくいというのも関係しているかもだけど、今回目を惹いたのは松緑だったな。もともと彼の踊りは品もあるしキリっとしていて好きなんだけど、衣装の美しさも松緑のほうが際立って見えたし。

前の週末に桜が終わったばかりだったので、満開の桜がもう一度お花見気分にさせてくれたのも嬉しかったす。


三、権三と助十

大岡政談をもとにした岡本綺堂の作品ってことで、どんでん返しもありこれはもう完全に現在のミステリー小説。舞台となる江戸の長屋に住む様々な職業の人たちの暮らしや衣装などが非常に興味深い。

かなり大勢の人たちが「井戸替え」の為に綱を引いてでてくるんだけど、これがまた圧巻!ちなみに、井戸替えとは井戸水をくみ出して中を掃除する事で、夏の行事だったようです。

お芝居自体は、威勢よくテンポよく進んで楽しめましたが、松緑がずっと怒鳴っているのがうるさくてちょっと疲れた。

この日は義母から譲り受けた大島に博多帯で。暑いのでちょっと早い?と思いつつも上着は絽の羽織を着ました。

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四月大歌舞伎 昼の部 [着物で歌舞伎]

一、お江戸みやげ(おえどみやげ)

                  お辻  三津五郎
                 文字辰  扇 雀
                  お紺  孝太郎
               鳶頭六三郎  亀 鶴
               角兵衛獅子  巳之助
                女中お長  右之助
                市川紋吉  萬次郎
                阪東栄紫  錦之助
                 おゆう  翫 雀


二、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)

  檜 垣
  奥 殿

              一條大蔵長成  菊五郎
                常盤御前  時 蔵
               八剣勘解由  團 蔵
                  鳴瀬  家 橘
                  お京  菊之助
               吉岡鬼次郎  團十郎


  恋飛脚大和往来

三、玩辞楼十二曲の内 封印切(ふういんきり)

               亀屋忠兵衛  藤十郎
                傾城梅川  扇 雀
             丹波屋八右衛門  三津五郎
              井筒屋おえん  秀太郎
              槌屋治右衛門  我 當


あれ程大勢みかけた外国人観光客の姿がほぼ皆無となった銀座は日曜日だというのに人出も少なく、曇天に冬のような寒さも相まってどことなく寂しげ。

開演ギリギリだったこともあり演舞場に向かう人もあまり見かけずブルーな気分で入場したので、入口を入るなり多くの人で華やかに賑わっている劇場の雰囲気が嬉しくてウルっときました。

今回の席は前回とは反対側の3階席右側。案の定上手半分が全く見えず。ただ、花道は完全に見える。メインの芝居をどの位置でやるかによるんですが、どちらがマシか微妙なところ。


一、お江戸みやげ
爽やかで心温まる凄くイイ話!常陸の国から江戸へ結城紬の行商にやってきた後家さんがお酒を飲んで気が大きくなったことをきっかけに、思いがけず全財産を投げ打って人気役者とその恋人を助ける話。

ラストは、助けた役者からお礼の印にもらった片袖が江戸土産になるっていう洒落てて優しくてちょっと切ない。後家さん二人を演じた三津五郎、翫雀共に初役という事で多少の固さはあったけど雰囲気は出ていて、どんどん良くなるだろうという感じでした。

私はこの演目始めて観たんだけど、三津五郎がやったお辻って勘三郎がやると相当客席を盛り上げそうですね。

二、一條大蔵譚
これは菊五郎が「作り阿呆」をやってる部分が全く見えないエリアだったんで感想は難しい。ま、團菊が同じ舞台に立つとやはり華やかだな〜とつくづく思いましたが。

三、封印切
さすがは藤十郎の当り役!テンポも良いし思いっきり見入ってしまいました。ああ、忠兵衛って野郎はなんと素晴らしく情けない男だ、笑。

藤十郎が花道に登場した時、昨年末の南座を思い出したんだけど、観客の反応がね、やはりあらためて近松の和事を関西で観る事の面白さってのも感じました。藤十郎の「河庄」を南座で観られて良かったなぁと。今年も南座行きたいなぁ。その為にはこの見えない三階席ともうまく付き合って行くべきか、、。(てか、それ以前にこの先仕事があるのかどうかという根本的な生活の問題は、恐ろしすぎて今は敢えて考えない。)

今回かなり良かったのが三津五郎の八右衛門。関西弁もなかなか板についてて、嫌らしくねちっこい男を実に楽しげに演じていました。それといつもの事ながら秀太郎の安心感も気持ちがよいです。秀太郎の着物の着方ってキチっとしていて好きだな。

しかし封印切で終わるってのは切なくてしょうがない。最後は華やかな踊りかなにかで締めてもらいたいものですな。

ところでこの後の話ってぇと「新口村」になるワケなんだけど、こちらは仁左様の忠兵衛が印象に残ってるもんでね、この二人が同一人物って、、、(以下自粛)、笑。

今月はなんだか久しぶりに楽しめる演目でしたね。

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この日は万筋に桜をイメージしてピンクの染帯を締めました。最近ほとんど紬だったもんで柔らかものを着るのは久しぶりでしたが、ストンっと下に落ちる感じの重さが心地よかったな。

芝居の後は夫と新宿で一杯。

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三月大歌舞伎 昼の部 [着物で歌舞伎]

一、恩讐の彼方に(おんしゅうのかなたに)

          中間市九郎後に僧了海    松 緑
               中川実之助    染五郎
                  お弓    菊之助
                馬士権作    亀三郎
                 若き夫    亀 寿
               浪々の武士    亀 鶴
              中川三郎兵衛    團 蔵
              石工頭岩五郎    歌 六


  六世中村歌右衛門十年祭追善狂言

二、伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)

  御 殿
  床 下

                乳人政岡    魁 春
                  八汐    梅 玉
                 沖の井    福 助
                 澄の江    松 江
                一子千松    玉太郎
              荒獅子男之助    歌 昇
                  松島    東 蔵
                仁木弾正    幸四郎
                 栄御前    芝 翫


三、曽我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)

  御所五郎蔵

               御所五郎蔵    菊五郎
                傾城皐月    福 助
                傾城逢州    菊之助
                新貝荒蔵    亀三郎
                秩父重介    亀 寿
               二宮太郎次  尾上右 近
             番頭新造千代菊    歌 江
                梶原平蔵    権十郎
              甲屋女房お京    芝 雀
              星影土右衛門    吉右衛門


11日の地震以来11日、12日、17日、18日と4日間の休演を挟んでの公演となった今月、色々な批判もある中、観客が殆どいない状態での公演も続いたようですが、私が行った千秋楽はほぼ満席となりました。個人的にはずっと公演を続けてくれた事に感謝!

さて、それはそれとして今回の席は財政難から一番安い3階B席という3階の左サイドの席をとったのですが、この席が最悪!花道が全然見えないことは承知していたのですが、花道どころか舞台の左半分が前に乗り出さないと殆ど見えないのです。

つまり、魁春の飯焚き(ままたき)などはずーっと前に乗り出して観なくてはならない状態。肉体的に疲れてしまって今月はあまり良く観られなかった。安い席とは言え3000円ですよ?もっと安かった歌舞伎座のC席だって幕見席だって舞台自体は見えたよね?なんだか釈然としないっす。

全体的に印象に残ったのは菊之助の充実ぶりでした。姿にしろセリフまわしにしろ非常に目を惹きます。

一方、歌右衛門追善となった先代萩ですが魁春の政岡はあっさりしているというか、前回観たのが玉三郎の政岡でこれがとても繊細だったので全く違う印象でしたね。「でかしゃった、でかしゃった」もなんかアタフタと終わってしまったし。

それと、御所五郎蔵での吉右衛門が小さく見えて迫力なかったのが残念。お身体でも悪いのでしょうか?

先代萩で栄御前の芝翫が花道に登場した時に次々と降り注いだ「成駒屋!」「大成駒!」「神谷町!」という大向こうさん達の掛け声を聞いて突然胸がいっぱいになって泣きそうになりました。変わらないもの、変わってしまったもの、、。様々な思いが頭の中をぐるぐる回る、、。

この日、会場でお会いしたはつきさんは先日清水の舞台から飛び降りる所を目撃した(笑)紫根染のお着物に春を思わせる蝶の柄の塩瀬を締めておられました。白地の多い紫根染ではつきさんが着ると柔らかい雰囲気が出てとっても素敵。

私は黒の結城紬に季節もそうだけど歌右衛門追善という事で桜柄の洒落袋を締めましたが、帯の写真を取り損ねました。

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二月花形歌舞伎 [着物で歌舞伎]

女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)

                   河内屋与兵衛  市川 染五郎
                       お吉  市川 亀治郎
                     芸者小菊  市川 高麗蔵
                     小栗八弥  坂東 亀三郎
                    兄 太兵衛  中村 亀 鶴
                    妹 おかち  澤村 宗之助
                  叔父 森右衛門  松本 錦 吾
                  豊嶋屋七左衛門  市川 門之助
                    父 徳兵衛  坂東 彦三郎
                    母 おさわ  片岡 秀太郎


そう言えば行ったんだった。やばい、時間が経ったのでちょっと忘れかけてる、汗

ル・テアトル銀座ってどうなのよ?日生劇場みたいな寂し感じになっちゃうのかしら、と心配していたんだけど、ロビーに飾ってある繭玉は華やかだし黒い壁に赤い提灯が飾られた劇場内もむしろ演舞場より雰囲気出てました。

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染五郎の与兵衛は10年前に歌舞伎座で観たんだけど、非常に印象に残る舞台だった。と言うのもその 3年前に観た仁左衛門の与兵衛と雀右衛門のお吉というコンビが今ひとつ期待した程ではなかったからなのよね。

仁左衛門直伝であるという染五郎の与兵衛は、いかにも現代の若者らしく、気分が変わりやすくてキレやすく情けない男でそれが非常に似合ってた。染五郎もやはりそのへんはしっくりくるが、仁左衛門が一世一代で演じた与兵衛が凄まじかったので、ちょっと評価が下がってしまったかな。あと、上方役者に比べると「なさけなさ」ってのはどうもあまり出てこないね。

殺しの場は舞台が狭いからか、滑り方も含めこじんまりまとまってしまったのと、仁左さまが演じる時に感じる殺しの快楽とそれによって興奮してきちゃってるエロティックさみたいなものも薄味なのが残念。

去年「引き窓」で染五郎を観た時、「仁左衛門にそっくり!」と思ったんだが、今回の与兵衛はあまり仁左衛門とは似てなかったのが意外。

普段はお吉を殺して逃げる所で幕なんだが、この日は与兵衛が捕らえられる場面まで演じられた。私は今回のバージョンの方が好きなんだ。親しい人を殺したのに何事もなかったかのようにあっけらかんと生きる与兵衛、悪い事をしたという自覚がないのだ。だから、お縄にかかっても反省するどころか「なんで俺が」ってなもんですよ。展開は違うんだけど「太陽がいっぱい」のラストシーンのようであり、「なぜ殺した?」と聞かれて「太陽がまぶしかったから」と答えた、カミュの「異邦人」のようでもある。

全体としては、うまくすれば染五郎の当り役となる予感。今後に思いっきり期待です。

軽いと言えば、今回特に感じたのが亀治郎のお吉の軽さ、うかつさというのも目立った。それ故か、殺しの場での「死にたくない、死にたくない」というセリフが妙にナマっぽく聞こえて印象に残った。

さて、この日は天気が悪くなりそうだったのと、前日の結城見学で体が疲れてしまっていたのでなるべく軽く、、という事で泥大島に博多帯を締めました。

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その上に、仕立て上がったばかりの羽織を着て。乳の位置が低いので現在調整中。

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新春浅草歌舞伎 第1部 [着物で歌舞伎]

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お年玉〈年始ご挨拶〉

一、三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)

   序 幕 大川端庚申塚の場
   二幕目 巣鴨吉祥院本堂の場
       裏手墓地の場
       元の本堂の場
   大 詰 本郷火の見櫓の場
        浄瑠璃「初櫓噂高音」

              お嬢吉三  中村 七之助
              お坊吉三  市川 亀治郎
            伝吉娘おとせ  坂東 新 悟
             手代十三郎  中村 亀 鶴
              和尚吉三  片岡 愛之助


二、猿翁十種の内 独楽(こま)

             独楽売萬作  市川 亀治郎


七之助、亀治郎、愛之助、共にしっかりしている役者なので危なげない演技。初日という事もあってか三人が上手く絡み合って、、と言うよりはそれぞれが自分たちの役をこなしているという感じではありましたが。

七之助のよく通る声は台詞を楽しむ黙阿弥作品のおいしいところを押さえていて良かったです。一方の亀治郎は今まであまり観る事のなかった役者さんなので、いつもはどんな感じか分からないのですが、声がこもってちょっと聞き取りにくかったかな。

今回とにかく印象に残ったのが、愛之助があまりにも仁左衛門に似ていたこと。白塗りで舞台に立つと姿が似ている、というのは前々から思ってはいたけれど、今回は声から発声の仕方からタイミング、表情までそっくりなのです!

先日TVで見た菊五郎・菊之助親子のインタビューの中で菊五郎が「ついつい一から十まで菊之助に細かい指導をしてしまいたくなるが、そうすると自分のミニチュアを作ってしまうことになるので放任している」というような事を言っていたけど、どうなんだろう、仁左さまは愛之助に手取り足取りこと細かな指導をしているのだろうか?あまり似過ぎているのもどうかと思う。ま、まずは完コピしてから自分なりの表現を追究してゆくというのは一つのポピュラーな上達方法ではありますが、、。

とは言え、「和尚にはどうかなぁ」と最初ちょっと違和感があった愛之助でしたが、舞台が進むにつれ段々と親分的な貫禄が出てくるのはさすが。

実は三人吉三って「大川端庚申塚の場」は何度も観たんだけど、他の場を観るのは恥ずかしながら今回はじめて。「火の見櫓の場」で七之助は殆ど女に見えたもんで、同性愛的な雰囲気はあまり感じなかったんですがこれでいいの?かと言って完全に男でもなんか違うよね。他の役者でも是非観たい。


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新春の浅草歌舞伎を観に来たのは20年ぶり位かな〜。前回は確か橋之助が出てたもんなぁ。
初日である2日に観に行ったので浅草は大混雑。公会堂前も華やかで、館内ではお土産物屋の呼び込みも賑やか。ロビーにある広い窓の外には浅草寺境内の屋根瓦や五重塔が見えてまるで江戸時代にタイムスリップしたかのよう。実に久しぶりに「お芝居を観るんだ!」という高揚感を味わいました。

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改修工事の終わった本堂は、塗り替えられた漆がピカピカでキレイ。塗り替えたばかりってもっとYの%が高いっていうか不自然な朱色ってイメージがあるけど、浅草寺は落ち着いた良い色ですね。
スカイツリー効果なのか、もの凄い人で入場規制をしておりお参りできなかったので、横から覗いただけなんだけど。

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来年の初春も浅草歌舞伎だな、と心に決めた年明けでした。

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『白いリボン』監督:ミヒャエル・ハネケ/出演:撮影:クリスティアン・ベルガー

第一次世界大戦前夜、ドイツ北部の村で次々に起こる不可解な事故によって村人たちは疑心暗鬼になり村全体を不穏な空気が包んでゆくのだが、、。

罪悪感を植え付けて人間をコントロールしようとするキリスト教の側面、閉鎖的な社会、暴力、戦争の影、残酷で不安定な子供時代、なんだかイヤ〜な雰囲気が全編に漂っているところがイイっす。こういう話にはまたドイツ語の響きがよく似合う!

しかし、そんな意味付け的な事は実はどうでも良くて、私がこの映画を観た理由はポスター。

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最初はハネケ作品である事も知らなかったし、テアトル銀座の入口に貼ってあった宣伝ポスターが目に留まった瞬間に「この映画を観たい!」と強烈に思ったワケです。

期待した通りのちょっとハレ気味のモノクロ映像と緊張感漂う演出を観ながら自分がこの村の住人になったような錯覚を楽しみました。もっとずっと観ていたかったもん。こんな嫌な世界を楽しむ自分もちょっとどうかと思うけど、笑。




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