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杮葺落五月大歌舞伎 第三部 [着物で歌舞伎]

五月はまず三部から、初日の公演を観に行きました。

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席は3階A席の中央2列目。

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一、梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)
  鶴ヶ岡八幡社頭の場
   
梶原平三景時 吉右衛門
梢 芝 雀
俣野五郎景久 又五郎
奴萬平 錦之助
山口十郎 歌 昇
川島八平 種之助
岡崎将監 米 吉
森村兵衛 隼 人
剣菱呑助 彌十郎
六郎太夫 歌 六
大庭三郎景親 菊五郎

二、京鹿子娘二人道成寺(きょうかのこむすめににんどうじょうじ)
  道行より鐘入りまで
   
白拍子花子 玉三郎
白拍子花子 菊之助
所化 團 蔵
同 権十郎
同 宗之助
同 萬太郎
同 巳之助
同 尾上右近
同 米 吉
同 廣 松
同 隼 人
同 虎之介


一、梶原平三誉石切
これは何度も観ている演目。特に吉右衛門の梶原は如何にも腹にいちもつありそうなところがいいです。大庭三郎景親は菊五郎と贅沢な配役で実にドッシリとした危なげない舞台でしたが、そのあまりのハマり具合が気持ちよくて(と言い訳)ついウトウトと、、、。

しかしさすがに、大庭一行が去った後から手水鉢を真っ二つに斬って揚々と引き上げるラストまでは、劇場の空気を吉右衛門が自在に操り魅せましたね。


二、京鹿子娘二人道成寺
この二人による二人道成寺はさよなら公演の舞台がとても印象に残っており楽しみにしていましたが、さすがにクラクラするような華やかさでした。

菊之助の白拍子花子は二段の所化とのやりとりではエロい色気ムンムン。踊りになるとフィジカルで玉三郎を圧倒。それにひっぱられて玉三郎の動きもスピードアップ、二人のパワーの絡み合いを感じる、なんだか凄い緊張感のある道成寺でしたね。さよなら公演では菊之助が玉三郎に付いて行ってるという感じだったのに、その成長を実感しました。

ペースは完全に菊之助がつくっていおり、それゆえ玉三郎は1人の踊りになってやっとひと息ついたって感じでした。いやー、もうドキドキするような手に汗握る道成寺でしたよ。

ここのところあまりガッチリ踊りを見せる演目がなかったので堪能しました。やっぱり踊りの演目は毎回組んで欲しいですね。

この日は、昨年着物で南座に行って以来すっかり味をしめた母をまず着付。

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祖母のを仕立て直した色無地に「青木」で買った織りの名古屋帯。名古屋でそこそこ格のある帯っていうのが母のような着物の使い方には良いだろう、と思って探したら丁度出会ったのがこの帯。程よい甘さがもあってなかなか良い買い物だったなと。

で、母に合わせて私も色無地にしました。帯は着付教室の認定試験でも使った袋帯。

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こちらは叔母のもの。ちょっと色が古くさいし町中では目立ちすぎる気がして敬遠していたのですが、歌舞伎座で写真を撮るとこれくらいで丁度いいんすね。

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昨年南座に着て行って、母はすっかりこのコーデが気に入ったらしく顔見世の長丁場を終えてホテルに帰ってからも「脱ぎたくない〜」と言ってたくらいで、いやほんと着付冥利に尽きるってもんです。

ちょっと早い母の日のプレゼントに着付付きで歌舞伎座に招待しましたが、とっても喜んでくれたんで私も嬉しくなりましたよ。


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柿葺落四月大歌舞伎 第三部 [着物で歌舞伎]

近江源氏先陣館

一、盛綱陣屋(もりつなじんや)

            佐々木盛綱  仁左衛門
               篝火  時 蔵
               早瀬  芝 雀
             伊吹藤太  翫 雀
             信楽太郎  橋之助
             竹下孫八  進之介
              四天王  男女蔵
                同  亀三郎
                同  亀 寿
                同  宗之助
          高綱一子小四郎  金太郎
          盛綱一子小三郎  藤間大河
           古郡新左衛門  錦 吾
               微妙  東 蔵
             北條時政  我 當
           和田兵衛秀盛  吉右衛門



二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)

            武蔵坊弁慶  幸四郎
              源義経  梅 玉
             亀井六郎  染五郎
             片岡八郎  松 緑
             駿河次郎  勘九郎
            太刀持音若  玉太郎
            常陸坊海尊  左團次
            富樫左衛門  菊五郎


一、盛綱陣屋
仁左さまの盛綱は2010年に演舞場で観たんですけど、この時の舞台は歌舞伎座休業中に観た演目の中では最もダントツに感動した舞台でした。

『盛綱陣屋』は大坂冬の陣で兄弟でありながら敵味方に分かれて戦った、真田信之・幸村を佐々木盛綱・高綱兄弟に置き換えて書かれた作品で歌舞伎三大首実検(どんだけ好きなんだ首実検が、笑)のひとつ。盛綱が主君の前で弟・高綱の首実検をする場面が最大の見せ場です。

まずは軍使として訪れた和田兵衛秀盛演を演じる吉右衛門と仁左さまとの対面。吉右衛門の肝が据わった大きな芝居と仁左さまの繊細な演技の対比がこの場面を際立たせます。二人の間に流れる緊張感に見ている方もドキドキ。

仁左さまの台詞回し、そして腕を上げたり、足を踏み出したり、体を傾けたり、といったひとつひとつの仕草全てが盛綱という人物を物語り、いつものように音楽にのって美しく表現される瞬間を観る喜び!前回観た時よりもそれは更にブラッシュアップされて完成度が高まっていたように感じました。

一方で金太郎君に小四郎役は少し荷が重かったかなーと感じました。前回見た小四郎役はどこかの劇団の子だったんですが、このが凄く上手で堂々とした芝居だったもんで、型を追うだけで精一杯、台詞も息が続かない金太郎君を見ているとちょっと舞台から心が離れてしまう部分はありましたね。まだ7歳くらいなのかな。大役なので大変だと思うけど頑張って欲しいです。

それでもやはり仁左さまが登場すると舞台は別次元に入ります。最後の場は竹本喜太夫の語りと鶴澤宏太郎の三味線でこの二人と仁左さまの組み合わせがひとつのアートを作り出しているというかビッタリはまってエキサイティング!

以前のインタビューで仁左さまは首実検の演じ方について「歌舞伎は理屈だけではいきません。リアル、リアルに押すと矛盾やエゴも目立つ」と答えていますが、彼の盛綱はそういった意味でまさに体の表現のみによって我々の心にダイレクトに訴えかけるという、究極の形にたどり着きつつあるのでは。

ラスト、再び吉右衛門が登場すると舞台が華やかに輝き、戦場での再会を約束する盛綱と和田兵衛の姿は実に立派でまぶしいくらいでした。


二、勧進帳
今まで色々な組み合わせの弁慶・富樫・義経を見てきましたが、この演目はジャズのセッションみたいなもので、メンバーによって印象が本当に大きく変わる演目です。

その中で幸四郎の弁慶というのはどーも色々と小芝居が多いので落ち着かないというか、1人で盛り上がってる感じがあまり好みではなく、今回もそこんところは相変わらずでしたがしかし菊五郎の富樫がまた堂々としていて素晴らしく、品のある梅玉の義経といった組み合わせが良いバランスを生んでいました。特に弁慶最後の舞踊は今迄みた弁慶の中でも力強くて美しく、その真剣さには心打たれましたね。

けど、そんなことよりなにより今回は染五郎・勘九郎・松緑という若いイケメン揃いの四天王に目が釘付けですよ!(ダンディ・左団次も勿論すてきですけどね)殆ど台詞なんてないんだけど、義経の為の死ねと言われたら何のためらいもなく死ぬ覚悟を感じる位の気迫と緊張感がビシビシ伝えってきて萌えました。

これは女性陣文句無く全員一致の意見。イケメンというだけでなく全員しっかりとした芸を持っていますからね。カッコ良きゃいいってもんじゃない。そこが重要です。

今月の舞台を見て思いましたが、これだけの役者が揃うだけでも豪華なのですが、その上ベテランの大役者たちでさえ気合いの入り方が普段と全く違う。「混んでて値段の高い柿葺落公演を慌てて観る必要ないじゃん。」と思っている方がいたらそれは違うかも。チケットの値段には不満がありますが、でもこの芝居は今しか観られないものだと思います。

さて、第三部の席は三階A席6,000円。ま、B席から移ってくると近く感じますね。

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この日はまだまだおめでたい感じに飛び柄の小紋と菱模様の袋帯。天気が悪かったので草履がカレンブロッソなのが、写真で見ると不格好だなぁ。ワンピースにスニーカーを履いて来てしまったような感じ。

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4月末だというのに随分寒い日だったので祖母のものだった道行を着ました。真っ黒に地紋なので喪服用かと思ってたんだけど、家紋が入っていなければ普段使いも大丈夫と呉服屋さんに言われたので初お目見え。

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芝居の後はいつものヌガに滑り込みで閉店ギリギリまで粘って1時間一本勝負。ここで来月のチケット配付の儀。飛び交う万札、笑

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更にもう一杯飲める所を探して彷徨った挙げ句偶然到着したのが老舗バー「BAR SUZUKI」。

ここは25年近く前歌舞伎を見始めたころ友人と芝居の後度々行ったバーだったのだ!懐かしい。あまりにも懐かしくて泣きそうになりましたよ。

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が、一杯飲んだだけで終電めがけて激走。次回はもっとゆっくり味わいたいです。

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柿葺落四月大歌舞伎 第二部 [着物で歌舞伎]

一、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)

  浜松屋見世先の場より
  滑川土橋の場まで
          弁天小僧菊之助  菊五郎
             南郷力丸  左團次
            赤星十三郎  時 蔵
             忠信利平  三津五郎
             岩渕三次  錦之助
           浜松屋宗之助  菊之助
             関戸吾助  松 江
            狼の悪次郎  市 蔵
            木下川八郎  團 蔵
            伊皿子七郎  友右衛門
           浜松屋幸兵衛  彦三郎
          青砥左衛門藤綱  梅 玉
             鳶頭清次  幸四郎
           日本駄右衛門  吉右衛門



二、忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)

  将門

       傾城如月実は滝夜叉姫  玉三郎
           大宅太郎光圀  松 緑


一、弁天娘女男白浪
菊五郎の弁天小僧は何度も見ていて絶品だとは百も承知でしたが、今回はいつものように浪々と響く声には更に張りがあり、その名調子はいつも以上にしなやかに強く、文句のつけどころのない弁天小僧を演じて我々を江戸時代へと誘ってくれました。

いつもなら「稲瀬川勢揃いの場」で終わるこの演目も今回は大詰めまであり、「極楽寺屋根上の場」での菊五郎は大屋根での立ち回りも軽やかに、、、とは行かない迄も、70歳という年齢を全く感じさせない大立ち回り演じました。追手のアクションも揃ってキレに決まり気持ち良い!「がんどう返し」から山門が現れるダイナミックな舞台変換で日本駄右衛門の吉右衛門と青砥左衛門藤綱の梅玉が登場すると劇場中が一気に華やかなムードに。いやはや。まさにこれぞ歌舞伎のスペクタクル。

惜しむらくはここに團十郎も勘三郎もいないという事。ああ、彼らにもここに居て欲しかった、、。

二、忍夜恋曲者
平将門が滅ぼされた後、将門がかつて御殿とした相馬の古御所に現れるという妖怪探索の為、源頼信の命を受けて屋敷に訪れた光圀と傾城に化けて現れた将門の娘・滝夜叉姫との攻防をめぐる舞踊劇。

玉三郎程この世のものでない美しさが似合う歌舞伎役者がいるだろうか?真っ暗な劇場にロウソクの灯によって照らされ、スッポンから現れる玉三郎の怪しい美しさは圧倒的。しかし、今回はかなり遠い席だった為殆ど真上からの鑑賞。旧歌舞伎座で観た時のような登場の衝撃は正直ちょっと薄かったです。

しかし、その後の常磐津節にのったクドキはさすが。怪しく色っぽいのに品がある。一方の光圀を演じた松緑もしっかりとした台詞回しと踊りで舞台を引き締めて存在感を示しました。

大詰のガラガラと屋敷が崩れる「屋台崩し」のセットも見応えがあります。「雨月物語」のような、妖術によって作られた幻想が壊れて行く様には心惹き付けられました。

さて、今回の席は三階B席4000円。3階席の上の段で指定では一番安い席ですが一応花道はギリギリ見えます。ただ、役者が舞台の高い位置に立つと顔が見えない。まぁでも舞台の半分が見えなかった演舞場に比べればね。ほんと、なんなのかしらあの劇場は。

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この日はこのまま続けて第三部を見るので場内をウロウロ。
エスカレーターはあるけど敢えて昔のように階段を登るのもいいかもしれない。

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落ち着いたら桟敷にも行きたいな。
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三階にある「めでたい焼き」は相変わらず行列で5個持ち帰りの予約は早々にオーダーストップ。

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この後第三部に続きます。



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歌舞伎座開場! 四月大歌舞伎 [着物で歌舞伎]

歌舞伎座新開場
杮葺落四月大歌舞伎

第一部

一、壽祝歌舞伎華彩(ことぶきいわうかぶきのいろどり)

  鶴寿千歳

                鶴  藤十郎
              春の君  染五郎
             宮中の男  権十郎
                同  亀 鶴
                同  松 也
                同  萬太郎
                同  廣太郎
             宮中の女  高麗蔵
                同  梅 枝
                同  壱太郎
                同  尾上右近
                同  廣 松
               女御  魁 春



  十八世中村勘三郎に捧ぐ
二、お祭り(おまつり)

               鳶頭  三津五郎
                同  橋之助
                同  彌十郎
                同  獅 童
                同  勘九郎
                同  亀 蔵
               芸者  福 助
                同  扇 雀
                同  七之助
              若い者  巳之助
                同  国 生
                同  宗 生
                同  虎之介
                同  宜 生
              手古舞  新 悟
                同  児太郎




  一谷嫩軍記

三、熊谷陣屋(くまがいじんや)

             熊谷直実  吉右衛門
               相模  玉三郎
              藤の方  菊之助
             亀井六郎  歌 昇
             片岡八郎  種之助
             伊勢三郎  米 吉
             駿河次郎  桂 三
           梶原平次景高  由次郎
              堤軍次  又五郎
            白毫弥陀六  歌 六
              源義経  仁左衛門


2013年4月2日(火)、5代目となる歌舞伎座が初日を迎えたその日、第一部の舞台を観る為2年11ヶ月ぶりに歌舞伎座へ向かいました。正面入口をくぐるとその姿は慣れ親しんだ前歌舞伎座とあまりに良く似ていて、しかしやっぱり別の場所であるという不思議な感覚。

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この日観劇する3階Aの正面席へ向かうと、以前のちょっと暗い感じは一掃されて明るくなり、売店も増えて賑わっている感じ。座席につくと以前よりも傾斜がついているのか舞台が近く感じられ、花道も七三よりさらに先迄見えるじゃないですか!シートも若干前席との間に余裕ができたし、柔らかくてお尻が痛くならず快適でした。

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他の席に座っていないのでわからないけど、3階席の充実というのを強く感じましたね。ただ、1階も3階も売店は昨今の新しい駅舎みたいな作りにちょっとガッカリ。和風の落ち着いた感じにするか、或は前歌舞伎座のようなキッチュな猥雑さが欲しかったなー。

さて、舞台の話です。

一、壽祝歌舞伎華彩

幕が上がると同時に「待ってました!」と大向さんの声、まさに、その通りだと思ったですよ。待っていた!ホントにどれだけ待ってたか!胸がいっぱいになって泣けてくる〜。

染五郎、魁春、若手らの踊りに続き藤十郎がセリ上がって来た時はつくづく「ありがとう、藤十郎!」という気持ちになりましたよ、だって、閉場式で挨拶をした3人の内、芝翫も富十郎もいなくなった今、あそこでセリ上がって鶴を踊れる役者なんて誰もいないんだから。

ただ、昭和天皇の即位の大礼を記念して作られた筝曲の作品「壽祝歌舞伎華彩」は慶事に再演されてきたという事なので、まさに新しい歌舞伎座のスタートにふさわしい演目であるとは思うけど、個人的には筝曲ってなんか違うって感じてしまいました。もっと、なんだろう、笛と太鼓と三味線の凛とした祝い方の方が江戸歌舞伎らしい気が。


ニ、お祭り

これはもう役者も観客も涙なしにはいられない演目。華やかなお祭りの舞台には当然勘三郎が立つものと思ってた訳で、昨年平成中村座で観た勘三郎のお祭り、あの時の勘三郎の苦しそうな表情が蘇ってツラかったです。代役となった三津五郎の心中はもちろん我々以上に重いものだったのでしょう、この演目に付き物の「待ってました!」「待っていたとはありがてぇ」の掛け合いはありませんでした。

それ故、勘九郎に手を引かれて登場した七緒八くんの存在にどれほど救われた事か。まだ2歳だというのに10分以上続く踊りの間中、じっと座って踊りを見ている姿にはビックリしましたね。


三、熊谷陣屋

吉右衛門の直実は「これぞ熊谷直実」と思わせるものでした。その前に観たのが仁左衛門の直実で、これはもう神懸かり的な名演だったのですが、吉右衛門とは全く違うものなんですよね。仁左さまは台詞回しも動作も非常に音楽的で、流れるような型を繰り出す美しい直実、吉右衛門は心を押し殺して闘いに明け暮れた人生を観客に想像させる硬質な武士らしい直実。それ故、舞台の空気が変わっても、最後の「16年はひと昔、夢だ、、夢だ、、」という所でいきなりグッと世界を作って観客の心をえぐってくる。涙がダーーっと流れましたよ。凄いです、ほんと。吉右衛門は「俊寛」観た時も思ったけど、虚ろに前方をじっと見つめる時の寂寥感がハンパないです。

優雅で品のある仁左さまの義経が更にそこんところを際立たせてましたね。相変わらず義太夫節にのる台詞の音楽的な美しにはウットリ。義経の持つ「情」をこんなに感じたのも初めてかも。

一方、久しぶりに歌舞伎の舞台に立った玉三郎ですが、さすがに堂々としたその姿には登場した時から惹き付けられました。しかし、愁嘆場でやたらと動いて派手に悲しみを表すのにはちょっとポカーン。よりにもよって吉右衛門の直実に、、。浮いてましたね、完全に。

と、色々言ってますが、これだけの役者が揃った大歌舞伎は久しぶりでやっぱり厚みが全然違します。あまりに贅沢な夢のような時間はあっと言う間に過ぎ去ってしまいました。ま、3部制なんで実際短いんだけど。

この日は朝から雨が降りしきっていましたが、気合いを入れて訪問着に袋帯というこのまま結婚式にも出席できる姿で。

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コートは母のお下がり。てか、母のを強奪したんだけど。

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さて、お芝居の後は総勢9人でライオン本店の4階にある「入母屋」へ。個室だったので心置きなく歌舞伎の話で大盛り上がり!その後は2次会で1階のライオン本店へ。

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ここでも更に盛り上がっている我々を、外国人観光客が写真に撮りまくってたみたいです。

最終的にはとあるクラブでの3次会まで9時間位、ひたすら飲んで歌舞伎の話を尽きる事なく話し続けるという大変楽しい時間を過ごしました。歌舞伎座が日常にある。そのシアワセを噛み締めた一日でした。

追記:帰宅すると夫が「お疲れさま。おめでとう。」と言ってくれました。なんかグッときたよ。



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勘三郎逝く [着物で歌舞伎]

すっかり放ったらかしだったこのブログ、記録を見ようと思い久しぶりにアクセスしたら、奇しくも最後に勘三郎の公演を観た感想でストップしていました。その後もほぼ月2回のペースで歌伎を観ていたのですが。。

最後に勘三郎の舞台を観たのは今年3月、平成中村座における勘九郎襲名披露公演での「傾城反魂香」のおとく。訃報を聞いてパッと思い出したのは昨年11月の復帰公演での「お祭り」で、以前のようなハリがなく、苦しそうだったのが気になった事を覚えています。

仁左衛門をずっと追いかけている私でも勘三郎の芝舞台は思い出せない位何度も観ました。髪結新三とか四谷怪談のお岩とか、籠釣瓶とか特に世話ものを思い出しますが、そんな中、一番印象が強いのが92年歌舞伎座「荒川の佐吉」の辰五郎で仁左衛門丈にハマるきっかけになった演目。

最近では09年、四役早替りの「怪談乳房榎」。旧歌舞伎座の桟敷席で観たんだけど、目の前の花道を走る勢いがハンパじゃなくて、とにかくそのパワフルさに圧倒されました。あとはコクーン歌舞伎「佐倉義民傳」の木内宗吾。熱演だった。

最後に「これは素晴らしい」と思ったのは今年2月、新橋演舞場での勘九郎襲名公演「鈴ヶ森」で久しぶりに吉右衛門と共演した白井権八でした。

歳を重ねた勘三郎の演技の凄みを観たかった。もっともっと若手にその芸を伝えて欲しかった。しかしなによりもう一度、ただただ勘三郎の舞台を、文句言ったりしながら当たり前に観たかった。悲しくてなりません。

写真はコクーン歌舞伎「桜姫」のお練りで見た勘三郎。
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平成中村座 三月大歌舞伎 夜の部 [着物で歌舞伎]

一、片岡十二集の内 傾城反魂香(けいせいはんごんこう)

  土佐将監閑居の場

        浮世又平後に土佐又平光起       仁左衛門
              土佐将監光信       亀 蔵
              土佐修理之助       新 悟
              狩野雅楽之助       猿 弥
             又平女房おとく       勘三郎


二、六代目中村勘九郎襲名披露 口上(こうじょう)

                      勘太郎改め勘九郎
                           幹部俳優出演


三、曽我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)

  御所五郎蔵

               御所五郎蔵  勘太郎改め勘九郎
              星影土右衛門       海老蔵
                傾城逢州       七之助
                梶原平蔵       亀 蔵
                新貝荒蔵       男女蔵
                秩父重介       国 生
               二宮太郎次       猿 弥
               花形屋吾助       笹野高史
                傾城皐月       扇 雀
               甲屋与五郎       我 當


四、元禄花見踊(げんろくはなみおどり)

                元禄の衆       児太郎
                   同       虎之介
                   同       鶴 松
                   同       宜 生
                   同       国 生


中村座って観客ひとりひとりがハッキリ見えるんですよね。まさに人の間に役者が飛び込む感じがそれだけでワクワクする、最高の舞台効果となっています。どこから観ても役者の表情まで良く見えるし、ダイレクトに観客と舞台が呼応しあう小屋で、あまり歌舞伎を観ない人にもお勧めですね。

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ただ、外に撮影スポットがいまひとつ無いんですよね〜。とりあえず一枚記念写真。黒の結城に紬地の桜柄洒落袋で。しかしこの洒落袋は芯が無いし紬だから滑らなくて、すんごく結びにくいんです。お太鼓柄なんで柄出しにも気を使うし、、てなワケでなんか着付がイマイチ、、。

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一、傾城反魂香

はじめて観たニザ様の又平は純朴で優しい男でした。勘三郎のおとくが吃音の又平に代わって色々と世話を焼いているんだけど、彼女によりかかるというワケではなくお互いを大事に思い合う姿に、夫婦のあり方について考えさせられました。イラっとしても夫を怒鳴りつけたりしちゃダメなんだよな。

ニ、口上
演舞場に比べて人数も少なく、エライ人もいないのでカジュアルで温かい口上となりました。お約束とは言え襲名披露の口上ってのは、じ〜んとくるモノがあります。父が生涯をかける中村座での襲名というのは、歌舞伎座がない今、勘九郎にとっても勘三郎にとっても特別な意味があるのではないでしょうか。

三、御所五郎蔵
両花道から勘九郎と海老蔵が子分を引き連れて登場すると、さすがに劇場が華やぎますね。若くてほっそりとした二人が白と黒という対照的な衣装を付けた姿は、現代のファッション雑誌の表紙になってもおかしくないです。

まずは両花道にて黙阿弥らしい七五調の台詞の応酬がある訳ですが、まぁやはり軽さは否めませんでした。五郎蔵と土右衛門の実際の年齢を考えれば別にドッシリやる必要もないんだけど、しかしもう少し意地の張り合いに火花を散らして欲しいよな。特に海老蔵はただ台詞を追いかけるだけで精一杯といった感じで可も無く不可も無く目立たない感じ。

一方の勘九郎ですが、白地に墨絵の着物をタイトに着付けた姿が実に粋で、もっさりした土右衛門のファッションと対照的。「お侍はダサイのよ」と友人valさん弁。勘九郎の背中から首にかけてのラインにちょっとニザ様を感じたのは、何かニザ様が影響を与えたのか?口上で勘三郎が「松嶋屋のお兄さんには五郎蔵を教えて頂き。。」てな事を言ってましたが。ニザ様のあのラインの色気はハンパない。是非若い人に受け継いで欲しいものです。

五郎蔵というのは女房に女郎をやらせ、自分ではろくに稼げないのに威張ってるという自分勝手な男なんですが、そこの所は勘九郎の真面目で優しい人柄が出てしまって、ちょっと違う感じではありました。しかし、それはそれで良いのだと思います。下手に小手先の技でごまかそうとはせず、真っ向から取り組んで自分を晒している勘九郎という役者に感動しましたもん。

特に愛想尽かしで怒りに震える雷のような姿の色気と美しさと言ったら!!惚れました、ワタクシ。勘九郎は今回の襲名披露公演でどんどん良くなってます。

四、元禄花見踊
色んな年代、色んなサイズの子役が出て来てサーカスみたいでしたね。まぁ、最後が踊りというのは安心して帰れるので好きですけど。

さてさて、芝居の後はお約束の酒場放浪記。今回は友人のvalさんとブログ仲間のはつきさん、のの吉さんと一緒。浅草の夜は早いので、なかなか手頃な店がないんですよね。で、事前に教えてもらった田原町の「たぬき」という炉端焼きへ行く事にしました。

途中浅草寺を抜けたんですけど、そしたらピカピカにライトアップされててビックリ!こちらでも記念撮影。

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結構歩いたけど、その甲斐あって「たぬき」は凄くいい感じの店でした!柔らかモノの着物には合わないけどね。今時しゃもじで料理が出てくるっていう昔なつかし炉端焼きってないよ。

料理もお酒も安くて美味しかったし、こういうお店では一見には怖かったりする店員さんも凄く優しくて親切!時間がなかったのが残念〜。今度この店めざして来よう。

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いやしかし、芝居の後にお酒を飲みながら歌舞伎好き同士ワイワイ芝居の話をするのって本当に楽しい。歌舞伎好きでよかったとしみじみ思った夜でした。





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中村勘太郎改め 六代目中村勘九郎襲名披露 二月大歌舞伎 昼の部 [着物で歌舞伎]

昼の部


一、歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ)

                鳴神上人       橋之助
               所化白雲坊       亀 蔵
               所化黒雲坊       男女蔵
               雲の絶間姫       七之助


二、新古演劇十種の内 土蜘(つちぐも)

           僧智籌実は土蜘の精  勘太郎改め勘九郎
                 源頼光       三津五郎
                侍女胡蝶       福 助
                平井保昌       橋之助
                 渡辺綱       松 江
                坂田公時       巳之助
                碓井貞光       児太郎
                ト部季武       国 生
               太刀持音若       宜 生
                 巫子榊       芝 雀
                番卒藤内       勘三郎
                番卒次郎       仁左衛門
                番卒太郎       吉右衛門


  天衣紛上野初花

三、河内山(こうちやま)

  質見世より玄関先まで

               河内山宗俊       仁左衛門
               松江出雲守  勘太郎改め勘九郎
                宮﨑数馬       錦之助
                腰元浪路       隼 人
                北村大膳       由次郎
              高木小左衛門       東 蔵
               後家おまき       秀太郎
              和泉屋清兵衛       我 當


またまた観てからだいぶ時間が経ってしまった、、。


一、鳴神
歌舞伎十八番なんだけど実は始めて観ました。基本的に長らく孝夫・仁左衛門を追いかけて来たので観る機会がなかったんですね。

この日、一番印象に残ったのは雲の絶間姫を演じた七之助。花道に登場した瞬間そのヒンヤリとした美しさにゾクっときた。前回観た時よりも一段と痩せて見えたが、それがまた何やらそそるというか、、。

それにしてもこの演目、こんなにアダルトでいいワケ、笑? 橋之助は無邪気に40過ぎの童貞男を演じていたけどね、あまりにオヤジなエロネタ満載で見てるこっちが恥ずかしくなったわい。

ニ、土蜘
歌舞伎座さよなら公演で観た菊五郎の僧智籌実がもの凄く良くて心に残ったので楽しみにしていた演目。勘九郎は期待に違わず秘めたる暗黒の敵意を不気味に発し、体のキレの良さでまた菊五郎とは違うシャープな土蜘を演じてました。次に機会があれば今度は1階席で観たいな。

今回なんと言ってもゴージャスで、これが襲名公演なのだと印象づけたのが勘三郎、仁左衛門、吉右衛門という豪華オヤジ三人衆による番卒。勘三郎と吉右衛門が一緒に演じている姿は夜の部の鈴ヶ森同様感慨深いものがありました。

三、河内山
ニザ贔屓としてはなんつってもコレ。質屋の場では余裕のあるワルぶりがまた色気たっぷりで貢ぎたくなる男ぶり。ただ、この場は珍しくニザさまのセリフが怪しい場面が何度かあって、普段全くそういう所のない人なので驚きました。俳優祭の時も咳き込む場面があったりし、考え過ぎかなと思うけど4月まで連続出演の長丁場。心配っす、、。

そんなニザさまも松江候お屋敷からはサスガの名調子をきかせ、最後に花道を去って行く時の憎たらしさといったら!ハゲでもイケるという事が判明しました。この手の芝居で相手がニザさまとなるとさすがに勘九郎は影が薄かった。世話物やると現代人になっちゃうんだよね。

この日は襲名のお祝いだしフォーマルっぽい装いで行こうかとも思ったんですが、席が3階席なんでね〜。夜の部は初日に行ったんですけきれいどころの姉さん達をはじめ華やかな柔らかものが目につきましたが、それでも三階席で見かけた訪問着はちょっと浮いてると感じました。その格好なら一階席じゃね?って感じで。いや、もちろんお祝いの気持ちだからいいんですけど。

で、演目の「河内山」と言えば今回はやらないけど大好きな「雪暮夜入谷畦道」。あるいは、山中貞雄監督の傑作「河内山宗俊」で当時16歳の美し過ぎる原節子に降り積もる雪。雪のイメージなんです私にとっては。

つー事で夜に雪が降り積もっているように見える付け下げに番傘模様の洒落袋帯で出かけました。

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そしてお約束の芝居後の酒場放浪記ですが、昼の部ってことで店がまだ開いていない時間なので、まずは「築地すし好本店」で腹ごしらえ。下手な居酒屋に入るより魚は美味しいしお酒も安い。

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冷酒で乾杯〜。いい調子です!

その後は「パリのワイン食堂」へ。混んでて予約が入りにくい店ですが、タイミング良く席があいた。ラッキー!この時点でまだ7時。ここでワインをそれなりに飲んで、最後は芝居の半券があれば一杯目の泡ものがタダって事で最近良く行くビストロ「ヌガ」へ。

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飲んだ飲んだ。付け下げだっつーのにつり革にぶら下がるようにして帰宅。イカンです。家に帰るまでが襲名披露公演だ。今週末の中村座は気をつけよう。




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中村勘太郎改め 六代目中村勘九郎襲名披露 二月大歌舞伎 夜の部 [着物で歌舞伎]

一、御存 鈴ヶ森(すずがもり)

              幡随院長兵衛       吉右衛門
               東海の勘蔵       彌十郎
               北海の熊六       錦之助
                飛脚早助       家 橘
                白井権八       勘三郎


二、六代目中村勘九郎襲名披露 口上(こうじょう)

                      勘太郎改め勘九郎
                           幹部俳優出演


三、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)

          小姓弥生後に獅子の  勘太郎改め勘九郎
                胡蝶の精       玉太郎
                   同       宜 生
             用人関口十太夫       亀 蔵
            家老渋井五左衛門       家 橘


四、ぢいさんばあさん

               美濃部伊織       三津五郎
              宮重久右衛門       扇 雀
                宮重久弥       巳之助
                 妻きく       新 悟
                戸谷主税       桂 三
               石井民之進       男女蔵
                山田恵助       亀 蔵
               柳原小兵衛       秀 調
              下嶋甚右衛門       橋之助
               伊織妻るん       福 助


2月は六代目中村勘九郎襲名披露公演。初日の夜の部に行きましたがさすがに華やかに大にぎわいでした。

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ロビーには贔屓筋からの絵馬がズラッとならんでいました。ロビーが狭いのでお祝いを表す苦肉の策でしょうかね。

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一、鈴ヶ森

いつも白井権八が「前髪の美少年」っていう脳内変換にちょっとした苦労を強いられる演目なんですが、今回の勘三郎はそこんところ妙にシックリ来て最初から芝居に入り込みました。復帰以来はじめての大きな公演が息子の襲名披露という事で、何かピリピリとした緊張感があったのか、人を大勢殺めて逃走する若者の危うさが出ていたのかも。

一番の見せ場はやはり吉右衛門演じる幡随院長兵衛との出会いの場ですが、今迄観たどの鈴ヶ森よりもグッとくるものがありました。二人の間に流れる張り詰めた空気に息を飲んだです。

ニ、口上
いや〜もう今回の口上は挨拶する俳優も涙だし、観客席もすすり泣きの声がここそから漏れてくるし、大変なもんでした。

特に中村屋さんを追いかけて来なかった私でさえ、小さな子供の頃からその成長をTVで観て来たからか「立派になって、、」と、まるで身内の子供みたいな気にがしてウルっときました。一生懸命で真っすぐな所も気持ち良いし、応援したくなりますよ、そりゃ。

因に、この時のバックの襖絵は勘三郎の時と同様に金子國義との事。

今回の席はいつもの3階B席。

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襲名の引き幕はこの写真だと見えないけどフジテレビから贈られたもの。


三、春興鏡獅子
飛鳥井役で93歳の小山三が登場で場内大拍手。小山三にとっても勘三郎・勘九郎親子にとってもどれほど感慨深い事だろうかと思います。

勘九郎の弥生は非常に上品で丁寧でした。ま、初日だしね。獅子になってからはビシビシとスパークする踊りに新・勘九郎としての決意が感じられて気持ちよかったス。何かに取り憑かれたような、ちょっと中性的なところが「ああ、この踊りは”獅子の精”なんだな」と改めて思ったです。ただ、胡蝶の二人がな〜。子供だからってああグダグダにやられると冷めるだろう。完全に足を引っ張ってたゾ!

最後の毛振りはちょっとムキになり過ぎて型も崩れて台から落ちそうになったのはご愛嬌ですかね、笑。


四、ぢいさんばあさん
これはニザ玉でしか見た事ない演目なんで、どーしてもあの鼻をつまむクセは「ニザさまの真似をしている」と反射的に思っていまうんすよね〜。この芝居で一番良かったのは橋之助の下嶋甚右衛門だな。いい調子での大暴れが実に堂に入ってた。実はああいう人なのかも、もしかして、笑。

ニザ玉の時は再会の場でウルっと来るんだけど、三津五郎と福助はどうもワザとらしさばかりを感じてしまって最後は「いつまでやっとんじゃ!」と思ってしまいました。

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終演後はいつもの「ビストロ・ヌガ」に行こうかな〜と思いつつも、建設中の歌舞伎座の裏をうろついていたらカウンターが一人飲みにはちょうど良さそうな店が目についたので入ってみました。

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「small wonderland」というビストロ。ワインの種類などはそれほど多くないようでしたが、値段的にリーズナブルでカジュアルなお店。シェフをはじめカウンターの中も若い男性で、お客がひと段落してからは一見のオバさんである私とも色々とおしゃべりしてくれて楽しかったです。

木挽町にこういう店があるというのは貴重。また行くと思う。

この日は襲名披露公演のおめでたい初日、でも、3階席という事で、万筋の江戸小紋に模様に格のある織りの名古屋で出かけました。

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どうもシックリこないコーデ、、。


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俳優祭に初参加 [着物で歌舞伎]

第36回 俳優祭 国立劇場大ホール

一、『絵本太功記』十段目 尼ヶ崎閑居の場 竹本連中
(武智十兵衛光秀)市川染五郎、(武智一子十次郎光義)中村七之助、(嫁初菊)中村梅枝、
(光秀母皐月)坂東秀調、(佐藤虎之助正清)坂東亀三郎、(真柴久吉)尾上松緑、(光秀妻操)片岡孝太郎

ニ、『殺陣 田村』  立役による立廻り(素)
澤田正二郎が創案し「新國劇」に受け継がれてきた傑作を歌舞伎の立廻りにアレンジして上演。
出演は、中村扇雀、中村橋之助、市川海老蔵、中村勘太郎 ほか。


三、河竹黙阿弥作
『質庫魂入替』 しちやのくらこころのいれかえ 竹本連中 常磐津連中
出演は、尾上菊五郎 、市川團十郎、片岡仁左衛門、中村梅玉、市川左團次、
中村魁春、中村勘三郎、中村芝雀、中村時蔵、坂東三津五郎、中村福助 ほか。


電話予約当日の朝、我が家では夫を駆り出して固定電話+携帯電話2台+IPone1台という物量作戦(?)で電話をかけまくること1時間あまり、夫の電話が繋がってなんとかC席のチケットをゲット!俺のお陰だと自慢する夫。ハイ。その通りです!

ニザ様に直接お会いするのだからしてオシャレして行きたいのは山々ですが、昨年夏のチャリティ公演の物販でもみくちゃにされて汗だくになった経験から着物は紬に決定。帯は今年初の梅柄塩瀬、帯留めは梅にウグイス。

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開演前の国立劇場は来るべき物販に備えてか、何やら不穏で邪悪な熱気が渦巻く、笑。

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薄いのに千円もする松竹ボッタクリのパンフを買い、模擬店見取り図を見ながらどういう流れで攻めるのか、まずは作戦会議&下調べで館内を歩いて動線を確認。

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そうこうしている内に最初の演目がスタート。

一、『絵本太功記』
実力ある若手役者が揃ったなかなかに見応えのある演目。ですが、『絵本太功記』という演目としては重みにかける舞台となり、俳優祭というイベントで演じるには重過ぎるという感じがしました。

ニ、『殺陣 田村』
紋付袴姿の素で殺陣を見せる剣舞。最初に登場したのが勘太郎(現・勘九郎)だったんだが、体のキレが素晴らしく、ビシビシ型が決まってましたね〜。中心軸がしっかりしていてぶれないので動きも美しい。さすがの充実ぶりを感じました。

それに引きかえ、次に登場した海老蔵はどうしたことか、、。腰はヘナヘナ、型は全く決まらず、刀の抜き差しが微妙につっかえてワンテンポ遅れてしまう。そう感じたのが私だけではない証拠に、彼の立ち回り中は殆ど拍手が沸き起こらなかった。決まらないから観客はどこで拍手して良いのか分からないのだ。勘太郎の後だっただけに目立ってイタかった。

あと、橋之助の動きはその大きさと美しさが良かった。

ところで、話はそれるけど「新國劇」「澤田正二郎」と言えば思い出すのが映画『殺陣師段平』。オリジナルは50年制作のマキノ雅弘監督で森繁の段平ですが、雷蔵狂の私としては62年制作、鴈治郎の段平、雷蔵の沢田正二郎ヴァージョンですよ!

沢田正二郎が「新国劇」を旗揚げし、演劇にリアリズムを求めて行くという時代の流れに置いて行かれそうになりながらも、昔ながらの殺陣師である段平が命をかけて殺陣を追究してゆく芸根性もの。迫り来る死と闘いながら「老いた国定忠治の殺陣」をつけるシーンとかグッとくる映画です。




黒澤明 脚本作品 : 殺陣師段平 [DVD]

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さて、ここでブレイク。お待ちかねの物販タイムです。

今回は時間がなかったとの事でオリジナルグッズの販売はなし。押し隈や役者さん達が書いた絵などの作品以外は基本的に食品でした。

まずは今回の目的であるニザ様販売の「歌舞伎弁当」コーナーへ走る!この会場が一番広い部屋だったんですが、他にも成田屋・中村屋・音羽屋のブースもあり大混乱。特にニザ様のブースは大人気で横からも前からも後ろからも人が押し寄せてくる。並んでるのに、そんなの全く関係なし!

まぁ、ライブで「このままじゃ死ぬ。マジで死ぬ」という経験を積んでいる私にとってはこれしきなんて事ないのだが、なにせ帯が心配で。ずっと後ろ手に抑えてましたよ。

係の人が「押さないで下さい!危ないです!押さないでください!押さないでーーーーーーッ!」と絶叫する中、なんとか販売コーナーにたどり着くと孝太郎さんが「どうぞ!」とお弁当を差し出してくれたんだけど、え?だってニザ様と握手する為に来たんだしって話なんだが、前がつかえてるもんで結構ここで間ができちゃって苦笑いする孝太郎さんと見合ってしまうというヒジョーに気まずい雰囲気。いやしかし、ここでお弁当を受け取ってしまったら負けだ!と心を鬼にして耐える時間が何十分にも思えました。孝太郎さん、ごめんなさい!!

そんな混乱の中だったのでニザ様との接触はほんの一瞬。「来月観に行きます!」としか言えなかった、、。

しかも、かなり残念な感じのお弁当。ご飯多過ぎだし。無闇に満腹になってしまった。

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その後は秀太郎さんがおられる売店でお茶を購入。秀太郎さんはその舞台同様、たおやかでとーっても素敵な方。「年末に南座で拝見しました」と言ったら「昼夜どちら?」と聞かれたので「昼です」と言ったら「長い方ですね。夜は2分だったから」と気さくにお話してくださり、Vサインで一緒に写真に収まってくださった。感激!

その後は左団次さんを探しに行ったんだけど姿が見えず残念。フラフラと色々な役者さんを見て回り、獅童さんからビールを買って握手してもらったりした後お弁当を食べ、東北物産店で売り子をしていた澤瀉屋さんにつかまって最後にずんだ大福と鯨大和煮を購入したところでタイムアップ。

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三、質庫魂入替
やっと俳優祭らしい笑える演目が登場。質屋の蔵の中にある人形達が踊るんだけど、中身を魔法で入れ替えてしまうので、例えばお姫様の格好をしながら雷神さまの振りで踊るとか、ギャップが面白い。単純と言えば単純だけどそれをしっかり見せられるのが、さすがベテラン俳優陣。ドタバタの創作現代劇よりも、こういうのが洒落てて良いっていう気がするな。


お腹いっぱい、心もいっぱいで国立劇場を後にし、ちょっと一杯、と、言う事で神宮前の「鎌倉 松原庵 欅」へ。

由比ケ浜にある「鎌倉 松原庵」の2号店で、鎌倉のお店はとっても良かったので行ってみたんですが、人入ってなかったな〜。店内は鎌倉の雰囲気を頑張って再現してて気が利いていますが、原宿という場所はどうなんでしょう。大人がちょっと寄るには良い店だと思うので頑張って欲しいところ。

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壽 初春大歌舞伎 昼の部 [着物で歌舞伎]

一、相生獅子(あいおいじし)

                     姫  魁 春
                     姫  芝 雀



  祇園祭礼信仰記

二、金閣寺(きんかくじ)

            此下東吉実は真柴久吉  梅 玉
                    雪姫  菊之助
            十河軍平実は佐藤正清  錦之助
                 松永鬼藤太  松 江
                狩野之介直信  歌 六
                  慶寿院尼  東 蔵
                  松永大膳  三津五郎



  盲長屋梅加賀鳶

三、加賀鳶(かがとび)

  本郷木戸前勢揃いより
  赤門捕物まで

            天神町梅吉/竹垣道玄  菊五郎
                 女按摩お兼  時 蔵
                春木町巳之助  三津五郎
                   魁勇次  又五郎
                 虎屋竹五郎  錦之助
                昼ッ子尾之吉  菊之助
                  磐石石松  松 江
                 数珠玉房吉  亀三郎
                 御守殿門次  亀 寿
                金助町兼五郎  松 也
                    お朝  梅 枝
                  妻恋音吉  権十郎
                  天狗杉松  秀 調
                御神輿弥太郎  團 蔵
               道玄女房おせつ  東 蔵
                伊勢屋与兵衛  彦三郎
                  雷五郎次  左團次
                 日蔭町松蔵  吉右衛門


時間の計算を間違えて珍しく完全に遅刻。しかも座った時に帯留めを落としてしまい、舞台に集中できなかった。役者さんに申し訳ない、、。

ニ、金閣寺
前回観た時は全然頭に入ってこない話だったが、三津五郎の松永大膳は分かりやすくて、なるほどと納得させられた。しかし、この日は3階のB席だったので舞台上手が見えず、菊之助の雪姫が見えない!

何度も言うようだがいくら安い席だからって3000円も払っているのにおかしいじゃないか!先日久しぶりに国立劇場の大ホールに行ってつくづく思った。国立では3階の一番後ろだったので、確かに役者がすんごく小さくて、しゃべり出すまで誰だかワカラン。でも、舞台は全部見える。花道も半分見える。それが当たり前じゃない?

さて、その雪姫、クライマックスの桜の花びらを集めて鼠を描くところですが、前回観た桜がワサーーーっと降り注ぎ、踊りも派手だった福助とはかなり違う印象で、菊之助の雪姫は上半身はこまめに使うも、下半身の動きはおとなしめと感じた。

三、加賀鳶
夜の部の「め組の喧嘩」となんとなくダブる演目だけど、そこは黙阿弥作だけあって、め組と比べると洗練されていて味わい深い。菊五郎の道玄はさすがに手慣れたものだけど、もう少し悪くてもいいんじゃないか?前にもどこかに書いたけど、悪い按摩というと森一生監督『不知火檢校』の勝新太郎を思い出す。コイツの悪さと言ったらホントに、、この私でさえも「そこまでやるか!」と思う程。未見の方は機会があれば是非一度。名作です。

この日はラクな格好で、と思いドット柄の小紋に八寸の帯で出かけました。本当は濃い赤の帯揚げを合わせたい所なんだけど持ってない。探しているんだけど、丁度良い色が無いのよ、赤って。

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