平成中村座 十一月大歌舞伎 夜の部
一、猿若江戸の初櫓(さるわかえどのはつやぐら)
猿若 勘太郎
出雲の阿国 七之助
奉行板倉勝重 彌十郎
二、伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)
沼津
呉服屋十兵衛 仁左衛門
お米 孝太郎
池添孫八 彌十郎
雲助平作 勘三郎
三、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)
浜松屋より勢揃いまで
弁天小僧菊之助 七之助
南郷力丸 勘太郎
赤星十三郎 新 悟
浜松屋伜宗之助 国 生
忠信利平 彌十郎
日本駄右衛門 橋之助
今回初めて中村座の桜席へ。桜席は幕の内側にあるので普段は見る事のできない、幕が閉まっている状態の舞台の様子が見られるというのがミソ。
役者を近くに見る事ができるのはもちろん、こちらを見ている大勢の観客が目に入るとなんだか自分たちも舞台上にいるような気がしてくるという、非常に興味深い席で大変貴重な経験でしたが、マニア向けと言うか、音のバランスも悪いし舞台も見えにくいし、個人的には一度座ればいいかなと思いました。
芝居の内容に関しては実はあまり書く事がないような。
一、猿若江戸の初櫓
勘太郎の若々しい踊りが晴れやかでしたが、すこし固いかなとも。
二、伊賀越道中双六
冒頭で小山三さんのお元気な姿を観られたのは良かった!当り役と言われる仁左さまの十兵衛ですが、観るのは初めて。吉右衛門の時よりもお米が気に入って、、という雰囲気は薄いと感じました。文楽ではそもそも、お米が妹であるというのを分かっている十兵衛が嫁にという事にしてこの親子を救おうとするという話らしいが、そのあたりも意識しているんでしょうか?
三、弁天娘女男白浪
これは正直ツラかった。七之助は弁天小僧には線が細すぎる。勘太郎演じる南郷力丸との浜松屋では、二人に有名な泥棒の太々しさってものが全く皆無だったもんで、延々と続く空々しい会話にシラ〜っとしてしまい、もの凄い居心地の悪さを感じました。最近上達目覚ましい勘太郎ですが、この手の芝居はまだまだですな。
11月6日だったこの日はすごく蒸し暑かったんだけど、さすがに帯付きというワケにも行かず黒の結城に織りの名古屋を締めた上に羽織を着て出掛けました。
羽織は今年の初めに小糸染芸さんの着尺で作った長羽織。
こうやって写真に撮ってみるとあらためて小糸さんの染めの美しさを感じるなぁ。
こちらの帯は祖母から譲り受けたもの。彼女もよく締めていたという事で汚れてかなりクタクタになっていた上に、重いし短いし幅も狭くてずっと放置していたのですが、いつも着物の手入れをお願いしている悉皆屋さんに仕立て直してもらいました。
まずクリーニングで汚れを落し、足りない部分は黒い無地の布を足してもらい、前の部分は幅出しできるように開き名古屋に。お値段13000円程で十分締められる帯に生まれ変わりました。
帯すごくステキ!
もっとしっかりチェックするんだった。
今度ゆっくり見せてね。
「弁天娘女男白浪」は本当に辛かったね。
閉場時に観た菊五郎の弁天小僧と比べるのはあんまりだと思うが、悪に必要な色や闇がまったく見えて来ないお粗末な舞台だった。
若手の中では、群を抜く印象が強かった兄弟だけど、まだまだな所がやけに目につく中村座ではあるかも。
猿若江戸の初櫓は、ぱーっと曇りを払うような勢いのある踊りでとてもよかったけどね。
by val (2011-11-24 19:55)
結城の長着も羽織の染も素晴らしいですけど、
締めてお太鼓とタレで獅子の尻尾がちゃんと繋がってるのがすんごいです。
さすがお免状もってらっしゃる方は違いますねぇ。
毎回その日の運でお太鼓しょってるので、この手の柄がつながらないとアウト!な帯は買うの躊躇しますもん。
by のの吉 (2011-11-24 22:54)
>valさん
帯ね、実際見るとやはり経年感は否めないんだけど、とても使える状態じゃなかったものが蘇る事にちょっと感動しました。
浜松屋は凄く難しいんだな、とあらためて思った。正直、菊五郎と吉右衛門でも正体ばれてから引っ込むまでの一連のやりとりはギリギリっつーか、吉右衛門がちょっとアレで醒めそうなのをなんとか踏みとどまったって感じだったんで、若い二人には厳しかったね。
by 黒猫 (2011-11-25 08:42)
>のの吉さん
お太鼓は、上の方にいる獅子がもうちょっと下に降りてこないとダメでしたね〜。
by 黒猫 (2011-11-25 08:50)