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歌舞伎座開場! 四月大歌舞伎 [着物で歌舞伎]

歌舞伎座新開場
杮葺落四月大歌舞伎

第一部

一、壽祝歌舞伎華彩(ことぶきいわうかぶきのいろどり)

  鶴寿千歳

                鶴  藤十郎
              春の君  染五郎
             宮中の男  権十郎
                同  亀 鶴
                同  松 也
                同  萬太郎
                同  廣太郎
             宮中の女  高麗蔵
                同  梅 枝
                同  壱太郎
                同  尾上右近
                同  廣 松
               女御  魁 春



  十八世中村勘三郎に捧ぐ
二、お祭り(おまつり)

               鳶頭  三津五郎
                同  橋之助
                同  彌十郎
                同  獅 童
                同  勘九郎
                同  亀 蔵
               芸者  福 助
                同  扇 雀
                同  七之助
              若い者  巳之助
                同  国 生
                同  宗 生
                同  虎之介
                同  宜 生
              手古舞  新 悟
                同  児太郎




  一谷嫩軍記

三、熊谷陣屋(くまがいじんや)

             熊谷直実  吉右衛門
               相模  玉三郎
              藤の方  菊之助
             亀井六郎  歌 昇
             片岡八郎  種之助
             伊勢三郎  米 吉
             駿河次郎  桂 三
           梶原平次景高  由次郎
              堤軍次  又五郎
            白毫弥陀六  歌 六
              源義経  仁左衛門


2013年4月2日(火)、5代目となる歌舞伎座が初日を迎えたその日、第一部の舞台を観る為2年11ヶ月ぶりに歌舞伎座へ向かいました。正面入口をくぐるとその姿は慣れ親しんだ前歌舞伎座とあまりに良く似ていて、しかしやっぱり別の場所であるという不思議な感覚。

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この日観劇する3階Aの正面席へ向かうと、以前のちょっと暗い感じは一掃されて明るくなり、売店も増えて賑わっている感じ。座席につくと以前よりも傾斜がついているのか舞台が近く感じられ、花道も七三よりさらに先迄見えるじゃないですか!シートも若干前席との間に余裕ができたし、柔らかくてお尻が痛くならず快適でした。

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他の席に座っていないのでわからないけど、3階席の充実というのを強く感じましたね。ただ、1階も3階も売店は昨今の新しい駅舎みたいな作りにちょっとガッカリ。和風の落ち着いた感じにするか、或は前歌舞伎座のようなキッチュな猥雑さが欲しかったなー。

さて、舞台の話です。

一、壽祝歌舞伎華彩

幕が上がると同時に「待ってました!」と大向さんの声、まさに、その通りだと思ったですよ。待っていた!ホントにどれだけ待ってたか!胸がいっぱいになって泣けてくる〜。

染五郎、魁春、若手らの踊りに続き藤十郎がセリ上がって来た時はつくづく「ありがとう、藤十郎!」という気持ちになりましたよ、だって、閉場式で挨拶をした3人の内、芝翫も富十郎もいなくなった今、あそこでセリ上がって鶴を踊れる役者なんて誰もいないんだから。

ただ、昭和天皇の即位の大礼を記念して作られた筝曲の作品「壽祝歌舞伎華彩」は慶事に再演されてきたという事なので、まさに新しい歌舞伎座のスタートにふさわしい演目であるとは思うけど、個人的には筝曲ってなんか違うって感じてしまいました。もっと、なんだろう、笛と太鼓と三味線の凛とした祝い方の方が江戸歌舞伎らしい気が。


ニ、お祭り

これはもう役者も観客も涙なしにはいられない演目。華やかなお祭りの舞台には当然勘三郎が立つものと思ってた訳で、昨年平成中村座で観た勘三郎のお祭り、あの時の勘三郎の苦しそうな表情が蘇ってツラかったです。代役となった三津五郎の心中はもちろん我々以上に重いものだったのでしょう、この演目に付き物の「待ってました!」「待っていたとはありがてぇ」の掛け合いはありませんでした。

それ故、勘九郎に手を引かれて登場した七緒八くんの存在にどれほど救われた事か。まだ2歳だというのに10分以上続く踊りの間中、じっと座って踊りを見ている姿にはビックリしましたね。


三、熊谷陣屋

吉右衛門の直実は「これぞ熊谷直実」と思わせるものでした。その前に観たのが仁左衛門の直実で、これはもう神懸かり的な名演だったのですが、吉右衛門とは全く違うものなんですよね。仁左さまは台詞回しも動作も非常に音楽的で、流れるような型を繰り出す美しい直実、吉右衛門は心を押し殺して闘いに明け暮れた人生を観客に想像させる硬質な武士らしい直実。それ故、舞台の空気が変わっても、最後の「16年はひと昔、夢だ、、夢だ、、」という所でいきなりグッと世界を作って観客の心をえぐってくる。涙がダーーっと流れましたよ。凄いです、ほんと。吉右衛門は「俊寛」観た時も思ったけど、虚ろに前方をじっと見つめる時の寂寥感がハンパないです。

優雅で品のある仁左さまの義経が更にそこんところを際立たせてましたね。相変わらず義太夫節にのる台詞の音楽的な美しにはウットリ。義経の持つ「情」をこんなに感じたのも初めてかも。

一方、久しぶりに歌舞伎の舞台に立った玉三郎ですが、さすがに堂々としたその姿には登場した時から惹き付けられました。しかし、愁嘆場でやたらと動いて派手に悲しみを表すのにはちょっとポカーン。よりにもよって吉右衛門の直実に、、。浮いてましたね、完全に。

と、色々言ってますが、これだけの役者が揃った大歌舞伎は久しぶりでやっぱり厚みが全然違します。あまりに贅沢な夢のような時間はあっと言う間に過ぎ去ってしまいました。ま、3部制なんで実際短いんだけど。

この日は朝から雨が降りしきっていましたが、気合いを入れて訪問着に袋帯というこのまま結婚式にも出席できる姿で。

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コートは母のお下がり。てか、母のを強奪したんだけど。

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さて、お芝居の後は総勢9人でライオン本店の4階にある「入母屋」へ。個室だったので心置きなく歌舞伎の話で大盛り上がり!その後は2次会で1階のライオン本店へ。

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ここでも更に盛り上がっている我々を、外国人観光客が写真に撮りまくってたみたいです。

最終的にはとあるクラブでの3次会まで9時間位、ひたすら飲んで歌舞伎の話を尽きる事なく話し続けるという大変楽しい時間を過ごしました。歌舞伎座が日常にある。そのシアワセを噛み締めた一日でした。

追記:帰宅すると夫が「お疲れさま。おめでとう。」と言ってくれました。なんかグッときたよ。



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コメント 6

はつき

自分でも意外なほど泣けました。こんな素晴らしい場にいられることができたのも黒猫さんのおかげ。ありがとうございましたm(_ _)m
by はつき (2013-04-06 11:45) 

黒猫

>はつきさん
いやいや、みなさんのご協力の賜物です!
同じテンションで喜びを共有出来た事がなにより嬉しかったし財産だと思いました。ありがとうございます!
そしてこれからもよろしくお願いします。
by 黒猫 (2013-04-07 09:37) 

のの吉

躍動感のある、お着物集合写真!
楽しそー。うらやましー。

しかも、黒猫さん、訪問着で美しー。
私は柔らかものに不自由していて、4月は着物が同じになっちゃいそうです。


by のの吉 (2013-04-07 22:32) 

黒猫

>のの吉さん
ののさんにもポイントではお手伝い頂いきありがとうございました!ご一緒できなくてすみません、、。
杮落しの騒ぎがおわりましたら是非又ゆるりとお相手いただけると幸いです。訪問着久しぶりに着ましたが、今欲しいのは良い色の色無地っすー。
by 黒猫 (2013-04-08 09:17) 

mitama

お久しぶりの更新ですね。
私、黒猫さんの歌舞伎解説みるのが好きなので、まさに
「待ってました」です。
私も一部、観てきました。でも、本当にただポカンと感動に酔いしれてただけでした。改めて黒猫さんの感想を読んで、なるほど〜と思ってみたりして・・・(^_^;
3階にあった今はなき役者さんたちの写真を見て、昔を思い出したりして楽しかったです。
5月は一部、二部と予定してます。次も黒猫さんの解説、楽しみにしてますね。しかし・・・高いっ!(T_T)
by mitama (2013-04-16 21:18) 

黒猫

>mitamaさん
待っていたとはありがてぇ!

いやほんともお久しぶりです。歌舞伎はずっと観ていたのですが、FBに寸評を書くようになってそれで満足してしまい、こちらのブログを長らく放置しておりました。またコメント頂けて本当に嬉しいです。ありがとうございます。また改めてよろしくお願いします。

mitamaさんも一部ご覧になったのですね。閉場以来本当にいろいろな事があったので感慨深いですよね。。そしておっしゃる通り料金の高さ!どんだけふんだくるんだ松竹め!(ドンッ!)

by 黒猫 (2013-04-17 16:14) 

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